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各種組合制度の比較

組合と会社の違い

ここでは、中小企業組合の代表的なものである事業協同組合と企業組合、株式会社についてその違いをみることとします。

組織の種類 事業協同組合 企業組合 株式会社
組織の内容
目的 組合員の経営の近代化・合理化・経済活動の機会の確保 組合員の働く場の確保、経営の合理化 利益追求
事業 組合員の事業を支える共同事業 商業、工業、鉱業、運送業、サービス業、農業等の事業経営 定款に掲げる事業
性格 人的結合体 人的結合体 物的結合体
1組合員の出資限度 100 分の25 100 分の25  
議決権 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資別(1株1票)
配当 利用分量配当及び1割までの出資配当 従事分量配当及び2割までの出資配当 出資配当
設立要件 4人以上の事業者が発起人となる 4人以上の個人が発起人となる 資本金1円以上1人以上
行政の認可 必要 必要 不要
加入資格 自由加入 自由加入(法人は、総組合員の4分の1以内) 無制限
責任 有限責任 有限責任 有限責任
任意脱退 自由 自由 株式の譲渡による
組合員比率 ない 全従業員の3分の1以上が組合員  
従事比率 ない 全組合員の2分の1以上が組合事業に従事  
員外利用限度 原則として組合員の利用分量の100分の20まで    
根拠法 中小企業等協同組合法(制定:昭和24年) 会社法(制定:平成17年)
Point1組合員の経済的利益が目的
株式会社は営利活動を通じて利益を上げ、株主にそれを配当することを目的としていますが、組合は組合員が組合の共同事業を利用することにより自らの事業に役立てていくことを目的としています。また、企業組合は事業を行うことによる働く場の確保や組合員の経営の合理化を目的としています。
株式会社は資本の論理に基づく経済合理性を追求しますが、組合は相互扶助の精神に基づき、人間性を尊重し、不利な立場にある組合員の経済的地位の向上を図るための組織です。ここでいう相互扶助とは、組合員が協同して達成すべき目標を掲げ、そのために必要な共同事業を行い、各組合員がこの共同事業を利用することによってそれぞれの価値の創造と利益の増進を図ることをいいます。
Point2人(組合員)を重視した結合体
株式会社は「資本」を中心とする組織であるのに対して、組合は組合員という「人」を組織の基本としており、人と人との結びつきを中心とする人的結合体としての性格を持っています。出資限度については、株式会社の場合は出資の制限はありませんが、組合の場合は組合員は出資をすることが求められたうえで、平等の原則を保持するため1組合員の出資は出資総額の4分の1までという制限があります。
Point3議決権、選挙権は出資金額にかかわらず1人1票
議決権および選挙権は、株式会社では株式数に比例したものとなり、多数の株式を持つ株主の意向により運営されますが、組合は組合員の人格を重視しており、出資金額にかかわらず1人1票です。
Point4組合員の利用分量または従事分量配当に応じて配当
株式会社は営利活動を通じて利益を上げ、株主にそれを配当することを目的としていますが、組合は組合員が組合の共同事業を利用することにより自らの事業に役立てていくことを目的としています。このため、組合の事業の利益については、組合員の利用分量または従事分量に応じた配当が主となっており、出資配当にも制限があります。株式会社にはこうした制限はありません。
Point54人以上の発起人、行政の認可により設立
株式会社が1人以上で行政の認可を必要とせず設立可能であるのに対して、組合は4人以上の発起人により、行政の認可を受けて設立します。

各種組合と法人等の違い

組織の種類 事業協同組合
(事業協同小組合)
企業組合 信用協同組合 商工組合 協業組合 商店街振興組合 生活衛生同業組合 有限責任事業組合(LLP) 株式会社 一般社団法人 一般財団法人 NPO法人
組織の内容
目的 組合員の経営の近代化・合理化・経済活動の機会の確保 組合員の働く場の確保、経営の合理化 資金の貸付、預金の受入れ 組合員の事業の改善発達 組合員の事業を統合、規模を適正化し、生産性向上、共同利益の増進 商店街地域の環境整備 組合員の事業の生活衛生の水準向上、資格事業の改善 利益追求企業の連携や専門的な能力を持った人材による共同事業の振興 利益追求 設立時に定款に定めた目的 設立時に定款に定めた目的 NPO法所定の特定非営利活動促進による公益の増進(営利を目的としない)
事業 組合員の事業を支える共同事業 商業、工業、鉱業、運送業、サービス業、農業等の事業経営 組合員に対する資金の貸付、預金・定期積金の受入れ、その他 指導教育、調査研究、共同経済事業(出資組合のみ) 組合員の事業の統合、関連事業、附帯事業 商店街の環境整備、共同経済事業 生活衛生の適正化事業、指導、検査事業、その他 企業同士のジョイント・ベンチャーや専門的な能力を持つ人材による共同事業 定款に掲げる事業 定款に掲げる事業(剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできない) 定款に掲げる事業(剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできない) NPO 法第2条第1項別表に規定する20の活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する事業
性格 人的結合体 人的結合体 人的結合体 人的結合体 人的結合体 人的結合体 人的結合体 人的結合体 物的結合体 人的結合体 物的結合体 人的結合体
1組合員の出資限度 100分の25(合併・脱退の場合100分の35) 100分の25(合併・脱退の場合100分の35) 100分の10 100分の25(合併・脱退の場合100分の35) 100分の50(中小企業者でないもの全員の出資総額は100分の50未満) 100分の25 100分の25 ない        
議決権 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(ただし定款で定めたときは出資比率の議決権も可) 出資額に拠らず平等(1人1票) 出資額に拠らず平等(1人1票) 組合員全員の一致で決定 出資別(1株1票) 平等(ただし定款で定めれば変更可) 役員又は評議員のみ 平等(1人1票)
配当 利用分量配当及び1割までの出資配当 従事分量配当及び2割までの出資配当 利用分量配当及び1割までの出資配当 利用分量配当及び1割までの出資配当 定款に定めた場合を除き出資配当 利用分量配当及び1割までの出資配当 利用分量配当及び1割までの出資配当   出資配当 できない できない できない
設立要件 4人以上の事業者が発起人となる 4人以上の個人が発起人となる 300人以上が加入すること、出資金が1,000万円以上(東京都ほか金融庁長官が指定する人口50万人以上の市は2,000万円以上)であること 1都道府県以上の区域を地区として地区内で資格事業を行う者の2分の1以上が加入すること 4人以上の事業者が参加すること 1都道府県以内の区域を地区として小売商業又はサービス業を営む事業者の30人以上が近接してその事業を営むこと 都道府県毎に一個の組合員資格事業者の3分の2以上が加入すること 2人以上の個人又は法人が参加すること、組合契約書を作成しこれを登記すること 資本金1円以上1人以上 2人以上 1人でも可能、設立者が財産(価額300万円以上)を拠出、設立時評議員及び設立時理事はそれぞれ3人以上 10人以上の社員がいること、理事3名以上及び監事1名以上が必要
行政の認可 必要 必要 必要 必要 必要 必要 必要 不要 不要 不要 不要 不要(認証は必要)
加入資格 自由加入(定款に定める地区内で事業を行う小規模事業者(概ね中小企業者)) 自由加入(法人は、総組合員の4分の1以内) 自由加入(地区内の小規模事業者(概ね中小企業者)又は地区内居住所を有する者、勤労者) 自由加入(地区内において資格事業を営む中小企業者及び定款に定めたときは3分の1未満の中小企業者以外の者) 総会の承諾が必要(中小企業者(組合員の推定相続人を含む)及び定款で定めたときは4分の1以内の中小企業者以外の者) 自由加入(地区内で小売商業又はサービス業を営む者及び定款で定めたときはこれ以外の者) 自由加入(地区内で資格事業を営む者) 加入は組合員全員の一致で決定。資格は特に制限なし(ただし、法人が組合員となる場合は、自然人の職務執行者を定めること)組合員には業務執行への参加義務あり 無制限 外部からの社員参加は原則自由(定款で制限可)(個人又は法人) 自由(個人又は法人) 外部からの社員参加は原則自由
責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 有限責任 設立時社員、設立時理事又は設立時監事の負う責任は、総社員の同意がなければ免除されない 設立者、設立時理事又は設立時監事の負う責任は、総評議員の同意がなければ免除されない 出資をしていないため責任なし
任意脱退 自由 自由 自由 自由 持分譲渡による 自由 自由 やむを得ない理由がある場合のみ可能 株式の譲渡による 自由 自由 自由
組合員比率 ない 全従業員の3分の1以上が組合員 ない ない ない ない ない ない        
従事比率 ない 全組合員の2分の1以上が組合事業に従事 ない ない ない ない ない ない       役員総数のうち、3親等内の親族が3分の1を超えて含まれてはいけない
員外利用限度 原則として組合員の利用分量の100分の20まで(特例あり)   資金の貸付・預金の受入れは、貸出総額・預金の総額の100分の20まで 共同経済事業のみ適用され、原則として組合員の利用分量の100分の20まで(特例あり)   組合員の利用分量の100分の20まで 組合員の利用分量の100分の20まで          
根拠法 中小企業等協同組合法(制定:昭和24年) 中小企業等協同組合法(制定:昭和24年) 中小企業団体の組織に関する法律(制定:昭和32年) 商店街振興組合法(制定:昭和37年) 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(制定:昭和32年) 有限責任事業組合契約に関する法律(制定:平成17年) 会社法(制定:平成17年) 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(制定:平成18年) 特定非営利活動促進法(制定:平成10年)
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